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  • 仕事との距離の置き方(その3)絵画

    絵はずっと描きたい衝動はあったんだ。

    でも、描きたいものが思い浮かばないし、まじめにデッサンという気分でもない。そもそも高校の美術の授業以来ちゃんと習ったこともない。もっと描きたいものを描きたいというシンプルな衝動でいたかった。だから、折に触れてスケッチブックは買ってみるけど続かなかった。

    ある時をきっかけに変わった。

    ひとつは万年筆。

    もうひとつはテレビを見なくなったこと。

    たぶん、この2点で説明し切れると思う。

    万年筆を使い始めたきっかけ自体はよく覚えていないけれど、大人の筆記用具を持ってみたかったんだと思う。少しいいものも買ってみたけど、結局絵に適していたのは一番安いKAWECOの万年筆だった。その中でも持ちやすさでパケオというシリーズで、恐らくブランドの中で一番安いモデルではなかろうか。

    これがよかった。万年筆で線を引く感覚が気持ちいいのだ。これは確実にうつに奏功したに違いない。

    そうはいっても素人のお絵描きには違いないので、道具にお金をかけるのもなぁと控え気味だった。でも、そのうち色鉛筆に手を出した。最終的にはホルベインがよかったような記憶がある。色鉛筆で満足しようとその時は思っていたのに、絵の具に手を出した。でも、知識がないので、高校の美術の時間に多少使ったことのある、アクリル絵の具を手に入れた。やはりホルベインだった…といっても日本海側の田舎都市で絵の具を買えるところなんてそうはないんだよ。ホルベインは某ホームセンターにもフルラインナップで置いているし、オンラインでも購入可能。

    そもそもアクリル絵の具には2種類あって、ポスターカラーのようにベタ塗りしかできないタイプと重ね塗りして映えるタイプと2種類あった。当然後者。

    ただ、技術的な話にはなるけれど、絵の具は混ぜれば混ぜるほど濁る。なるべく少ない種類でイメージする色に近付けないときれいな色にはならない。

    そもそも絵が描けるようになった、つまり描きたい絵がイメージできるようになったのはテレビを見なくなったことだ。これは間違いないと思う。

    当時、自分の部屋は2階にあったけど、わんこが年齢とともに階段の上り下りができなくなった。それなら自分は1階に居を移せばいい。ただ、残念ながら1階にはBSがつながっていなかった。その頃すでにテレビといっても大河ドラマくらいしか見ていなかったんだ。がちゃがちゃしたバラエティーだのどこかの企業のマーケティングを反映させた情報番組なんて、脳みそのゴミにしかならなかったし、そもそもうつの脳には受け付けなかったんだろう。

    そんな経緯から脳みその中のゴミが徐々に排除されたんだと思う。

    3年半で300枚描いた。

    狂気の沙汰…ではなく、頭に描かれたものを写しているだけのことだった。

    当然、脳内でのイメージ化の方は早く、手で描く方はそれより劣る。そこは若干の根気が必要だった。描く方の技術は誰かに教わったわけではないから、下書きだけで終わっている作品もあった。でも、いつか続きは描くと思う。

    この1年は転職もあって、だいぶ描くペースは落ちてしまったけど、描くというベースはできているからいつでもまた描き始められる。絵の具は使わないでいるとだんだん固まっていくからそれだけは気になってはいるけれど。