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  • うつという病気

    まず、この病気について、いろいろとひっくり返しておきたい。

    やる気が出ない、意欲が出ない、めそめそする、暗いところが好き…という面があるかも知れないけれど、そこは核心ではないと私は思っています。

    私の場合は…になりますが、一番は注意力が注意しても効き目がなかったこと。だから、不注意とは違うと言いたい。それとは別に不注意もある。

    一生懸命説明や文字を読んでも間違って読んでいる。結果、間違って理解している。これは注意しているけど、間違うという前者。後者は例えば、公園のベンチに座っていて、普通なら通りかかる人にぶつからないよう左右を見たり…まぁわざわざ見なくても視界に入っていたりしてぶつからないように自動的にやっているんだけど、それができない。左右の通行人のことなんて頭になく、パッと立ち上がってしまう。まぁ、ひとくくりに注意力散漫と言って頂いてもいいんだけど、とにかくセルフコントロールできないひとつだった。

    さっき、文字を読んでも…と言ったけど、まず文字が目に入ることがストレスを感じる。しんどい。うつになって、休職してゆっくり本でも読むか…と思っていたけど、まったく受け付けない。

    あと感覚的なものが一番困る。ある日突然発症するものだから、実は肉体的には元気。鍛えている人なら筋肉は昨日も今日もあるし、肺活量も昨日と今日では変わらない。なのに、発症初期は特にほんのわずかな距離を歩いても心臓とか気管支じゃなくて、神経がぜいぜいする。これがまた適切な言葉が見当たらなくて、難儀する。”しんどい”が一番近いか…。でも、体じゃないんだ。

    どっかに白い蛍光灯だとストレスを感じると書いたと思うけど、そのしんどい感じは共通だね。

    どうやら、ストレス耐性が下がった状態、というのがうつの本質のような気がする。簡単な負荷に負ける。

    大学の時、様々な地方から集まってくるんだけど、関西系の奴らは日常的に「あほかっ、はげ」をあいさつのように連発するから(ハゲかどうかは問題ではない)、少々育ちのいいお嬢様は面食らって涙ぐんでしまうのだよ。一種のストレス耐性の低い状態。

    もちろん、うつのほうはもっと切実で言葉の刃の前に蛍光灯ですらダメージを受けてしまう。ダメージをもっと具体的に言うと神経が削られて、もともとわずかな残業しかないバッテリーの電気がごっそり持っていかれる。

    電池とかバッテリーって、ゼロになる前に充電すれば、元に戻りやすいけど、ゼロまでいってしまうとバッテリーそのものが傷んで寿命を削るし、フル充電になりにくくなる。iPhoneのバッテリーが傷んでくると、フル充電の状態で96%とかになっているでしょ?あれ。

    うつはその充電が溜まりにくい。溜まる前に放出するスピードのほうがバカ早い。

    その充電をする方法は睡眠しかない。医学的にはアドレナリンやセロトニンの神経を修復するのは寝ている時だけ、といえばいいだろうか。起きている間はストレスを受け続けるので、せっかく修復しかけた神経もそのストレスでまた壊れる。その繰り返し。修復とダメージの一進一退。

    ちょっと脱線してみるけど、病院に行って、原因がよくわからない時、たいてい先生(医師)から「ストレスが原因」または「年のせい」と言われる。さすがにその説明で納得する患者さんは見たことがなく、都合のいい言葉と理解されているんだろう。

    だけど、このストレスは間違いなく存在していて、幽霊みたいに実態はあるのかないのかわからないけれど、確実に人体を破壊しているのだから、存在していると言っていい。すべてがすべてではないだろうけど、ストレスによって体内でステロイドが増えて、妊娠しにくくなる、と何かで読んだことがあるから、実態のあるものなのは確かだと思う。

    だいぶ話は戻るけれど、注意力とアドレナリンは関係があるから、特別変な話ではない。でも、もしそこに注目されていないとしたら、うつを正しく理解することにはならないし、元気がないくらいの理解で”市民権を得た”ような話になってしまっているから、それ以上の理解が進まない。単に国民病と言えるくらいうつ人口が増えたというだけの意味で市民権と言ったのか?

    この注意力についはもしかすると私特有、あるいは少数派の症状だったら申し訳ないんだけど、これって社会復帰、つまり仕事に戻るときに大きなハードルになると思うんですよね。私のように医療関係だと尚更かも知れませんが、そうでなくても不注意、ミスが多いと困ることが多いんじゃないかな。

    じゃ、私はどうやって乗り切ったかというと、仕事に関して言えば、比較的自転車みたいな感じだったんですよね。もともとが間違えないための思考回路とか作業手順を、子供の頃に乗れるようになった自転車のように、ミスをしにくい仕組みが生きていた。もちろん、薬に頼り、無茶苦茶早く寝るようにして、毎日生活習慣に気を配って…。

    またちょっと脱線してみますけど、恐らく薬の副作用で手の指関節がこわばるようになったんですよね。食器なんかもちょっとした拍子に落としちゃうもんだから、ほぼプラスティックに買い換えましたよ。

    でもね、ギターは弾けるんですよね。鍛えられた部分は残っている。もっとも弾く気力がなかなか出ないのも確かでしたが、あの関節のこわばりなら弾けるはずがないと思うんですけど、握れば弾ける。

    まぁ、そんなわけで、うつについて、専門的じゃない、でも本質なんじゃないかなと思うことを書いてみました。