やめておけ。
私は会社を代表して新卒を採用することにまじめに取り組んでいたとは思うし、自分の会社のいいところもわるいところもなるべく率直に伝えて、過去の成り立ちもこれからの方向性も語ってきた。でも、特に新卒採用という場は若干の興奮状態がある…のは経験者なら少なからず感じることだろう。それがわかっているからこそ、のぼせた状態で就職しないよう、冷静な判断の中で社会に出られるよう、こちらも冷静なふるまいをしてきたつもりだった。
だから、わかるだろうか。
これから入社しようとする新入社員に、さっきまで就活生だった新入社員に「〇〇さん(←わたしのこと)みたいに採用の仕事がしたいんです」と言われてしまったら、完全敗北なのだ。
大げさかもしれないけれど、ひとさまの人生を変えてしまうかも知れない採用担当になどなってはいけない。
もちろん、決めるのは本人だ。
それに事実、「だまくらかして採っちまえばいいんだよ」という採用担当も経営者も普通にいる(出会った)。私が採用をしていた会社はそんなことはなかったし、人事関係のメンバーもしごくまじめで見習うところも多かったから、なんの後ろめたさもなく取り組んでいたと思う。
でも、常に一抹の不安はあった。こちらに後ろめたさはなく、誠心誠意伝えていたとしても、20年かそこらしか生きていない、せいぜいバイトくらいしか社会を知らないひとたちに勘違いさせずに仕事を選んでもらえるだろうか…。
それが「採用担当になりたい」と言われた日にゃ、完全敗北以外に何があろうか。
もっと大げさに言えば罪悪感という言葉があるかも知れない。
もちろん、若いひとたちの判断力や見る目も信じてあげればいいんだけど、それは彼ら彼女らの能力の話で、こちら側の気分とは別の話だ。
採用の仕事に関わっていたのはもう15年以上も前のことだけど、今なら絶対にしないし、今どこかで採用の仕事をなさっている方にお会いしたら、変な目で見てしまうかも知れない。悪しからず。
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